『2004/12月 第326回 読書会の報告』
 9月26日 長編小説『春の谷間』
 スタイル 昭和25年6月号〜昭和26年5月号 
 芹沢光治良文学館6 「一つの世界」 新潮社 平成8年8月10日発行
 司会:平山惟美  参加者:20名

K:春の谷間 スタイルとう雑誌  わか子・・・先進的イメージ  美佐子も両方も当  たり前。心にゆとりある作品。当たり前の女性像。みさ子が3歳のお嬢さんがいなが  らもああいう生活をする。芹沢作品で(文学者の運命)娘は、母親に変わる。創作の  中に自分は何か藝を得ようとして知識もない姿に慄然した。才能は、違うのではない  か。知識・才能・技術が伸びて藝を伸びていくのは、最高ではないか。みさ子みたい  な考えは多いのではないか。結婚しない、子ども生まないという傾向が強いのではな  いか。
   愛好会で、芹沢先生がいるところみさ子タイプがいた。女性の指名とは何か。結婚  が当然。結婚したら夫を全力をささげる。だけども才能があるのなら夫を支えながら  もできる。奨学試験をうけるため経済学部を受けたと芹沢先生がいっていた。明治1  1年戸籍法。実力者の言うままにした傾向がある。
T2:みさ子タイプを先生は奨励するのか。奨学金の問題。別荘へ行く。おやおやと思う。  若子は作者好み。
T3:姉妹の関係が考え方を整理してくれる。
姉妹の間の関係がおもしろい。みさ子は星が好き。星を見に行く。
あたらしい女性像を姉妹の対比でわかりやすく説明してくれる。
みさ子は、いるべき場所が無くなっている。健二の優しさと思いやりが持てなかった。
:個性が強い。若子は合格の印があればよい。みさ子は、大学生活を夢見る。
   424ページ マルクスに着いての考え方の会話。どっちが新しいか。男か女かこ   だわるのがおかしい。
p426
p444
   女が皮肉を言おうとしたら、無情なほど言葉程冷ややかに出るものだ。下6行
 
H:平戸という海辺。美しい海。戦後59年。NHKで回転が流れて来た場所を行くこと  が出来た。乗り場は、何処かへ移動。お花が新しい。穏やかな海辺。徳山へ出撃。広  報7月25日。月違いの命日。このぐらいしなければ一つのことができないのでは。
  p444 青い光とは何か。みさ子のモデルにこの前会った。小学生の頃。40年ぶ  りに会った。自分はいろいろな事をやった。音楽の解説。本を書いている。ご高齢な  のに小学生のまま表れた。ヴァイオリンを弾く。
  創作は自分の空想や色を付けていく。小説は、このように作るのかなあ。子どもは音  楽にやらせようか。

M:Oさんの秘書
O2:文系と理系の感覚の違い。生物系と科学系 会話も自然に違う。
  イタリア旅行
  個人的にイタリアに行く目的。ルルドに前回にいった。アッジシに行きたい。娘と同じ思  い出を持ちたい。朝4時半 聖堂に行った。ミケランジェロの奴隷 ここに座ったと  いう所に座った。サンマルコ広場の青さ。

K:みさ子と若子の中間の年齢。姉の性格。夫の健次の態度。ずるいのではないか。勉学  に励む=勉学でない所に目がいく。健次が受け皿にならない。みさ子にとって物足り  ないものがある。みさ子は何の邪心もなく行った。みさ子は邪心がない。林からの具  合が悪いと東京に戻る。みさ子はクリスチャン。若子が語るポイントは広い目がある。  姉の行動や健次への批判等。重要なものをつながれたように感ずる。

O3:女性の地位を上げる小説。春の谷間のみさ子の場合は、戒めの意味もあるのではな  いか。夫婦とは、亭主関白でならないわけではないし、やらなければいけない事をや  らなければいけない。

K:若子を対比させる場合のみさ子かと思った。学制の変わる時、自分も過ごした。若子  もしっかりした性格。若子に対しては腹が立っているイメージだった。林の存在は中  国の戦争で苦労して復員してフランス文学をしている。すごい体験の持ち主にしては  弱いと思う。夫の健次は消極的で善意の人で好ましい人。蔭の訳に回らざるを得ない。

T:ミーハーの端くれ。この頃のノスタルジーに浸っている。中学時代からビデオなどを  持っている。主人公の強烈なキャラクター、唯我独尊の考え。良いか悪いか新しい女  性像は、なかなか承伏出来ない。みさ子は詩人ではないか。小説というのは一般の感  覚に訴えて共鳴を得る。詩はだいたい夢をはなす。芸術家というのは大変。DNAが  ないと大成しない。あんまり写実性があると芸術家になれない。寛容、献身なのは、  立派なのだけどみさ子の才能を伸ばし一人前にしてあげたい。戸籍上の離婚を認めた  時に見切りをつけたのではないか。昭和25年頃入りやすかったのではないか。今の  若者と全く違う。芥川賞をもらったふしだらな連中と比べれば気持ちよく読めた。戦  後純真で真面目だった。石原慎太郎が出て来て、風紀を変えた。
 
  フランス文学をやった人は作家になる。

K:この小説はみさ子さんの考え方が理解出来ないことがたくさんある。人間が幸せにな  るためにある。いろいろなことで犠牲になる。子どもさんのことがあまり出てこない。  子どもへの愛はどうなっているのかなあ。ご主人は優柔不断でこの人を好きになれな  い。情感をみさ子には感じられない。自分の意志を貫くのは大変。子どもを抱えて大  学に行ったけどこのように強くなればいいなあと思った。孫の教育も出来ない。自分  の子どもは自分で育てるのが基本ではないか。林サンなどは人生のロマンスで良いの  ではないか。育英資金をもらうためには除籍とは、理解出来ない。いろいろなことが  理解出来ない。若子さんにはとても共感を持ちました。

N:私は、読んでいくうちにはわからなかったけど軽井沢の行動は彼女だとわかった。浮  世離れしてちゃっかりしていたひとがいた。東大の人数人が表れて彼女が現れて、学  生の方から疎んじられていた。あれもあったこれもあったと思い出した。父にいろい  ろ訴えていた。父は自分から言えないので。その後は、どうなったのか。さっき玲子  からきいた。このようにして小説を作るのかなあと思った。召集されていなかったか  ら体が弱かった。みさ子は結婚なんかするような人ではなかったのではないかと思い  ましたが、P397のしたのほうに「       勤めを辞めた」徴用のがれの動  機は不純と思った。タイプとしては非常に暗い感じを受けました。

司会: 学徒出陣は優遇されていた。

Y:男は情けない。母が立派な子育てをしたのではないか。心配なのは綾子が心配。制約  の中に人間は生きて行かなくてはいけないのか。

Y2:みさ子は自立を求めながらも、寄り添える異性を必要としているのがみさ子。結婚  しているので許されないものがある。理想の女性像を書いたのではないか。お互いに  思いやりの気持ちを持ちながらやっていく。お互いに支え合いながら自分も成長する。  男女同権といいながら、女の評価が先に立つ。みさ子を理解する男性はどれくらいい  るかと感じた。
S:若子は自分とあうがみさ子とはついて行けない。立派に人間を完成したい。実査に子 どもの食事を作らないで何が笑わない人間にならないか。やることをやらないで自分を 磨くというのはちょっとちがうのではないか。綾子がいとおしいからひからびた人間に なるというのはどういう事か。子どもはどのように成長するのか。簡単に離婚したり、 二し人ばかりの食事を作ることが出来ないのに立派な人間になると言うことが出来な  い。

T:みさ子が腹正しい。男女間の違い。差別に気を取られていた。責任感の問題。どちら かいっぽが幸せになるのではない。目を悪くなるまで働かせているのはおかしい。どん んなに親が偉くなってもこれではいけない。自分本位。みさ子が男だとしたら成り立た ないのではないか。鈴木こうじという作家は、主婦として売れない頃は働いていた。女 性は苦労する分男性に夢をかけていた。芸術家は何もかも捨てて芸術に突き進めべき。 離婚して行けばよいのに、自己本位に見える。一人の精神として独立していける。健次 はみさ子を一人前にしたいというが健次が良いというならそれでも良いと思う。大作家 になれば美談になるのではないか。作品を残していれば、良いのか。精神は大切。落ち ていく小説は書けるけど光を求める小説を書けるのではないか。

N:私は、行為自体は納得出来ないがこういう人が次の次代を担っていく。多分時代とい うのは常識的に進んだものを突き破るエネルギーが回していくのではないか。

S2:全般まで読んで非常におもしろい小説だと思った。みさ子さんの応援団の一人。芸  術家は、いちず。生き方が一途。棟方志功。藤原義江など常任でない側面を理解して  やる人は必要。林達三の速達で荻窪に行く。P439上4行「あなた・・・。だがね  ・・・・じっとしてらっしゃい。・・・・・才能を育てる・・・その才能がさせるこ  とだから我慢して」好き嫌いとか若子が立派だというのではなく芸術を育てるという  ことではないか。中村真一郎さんは放蕩な生き方をしている。

O:みさ子はフランス文学を読んでいる感化力を理解してほしい。才女でフランス文学の  影響を受けた女性がどのように動くかが興味を持つところ。