『2004/6月 第323回 読書会の報告』

 6月27日 随筆集『ヨーロッパの表情』394?448頁 第2回(全2回)

 芹沢光治良文学館11「エッセイ文学と人生」 平成9年6月10日発行 新潮社)

 司会:城戸祐子  参加者:28名



(発言より)

・先生は常に、人間とは何だろうかを考えている。

 人間が育んできた文化が人間を幸せにできないのはなぜなのか

・横光利一の「旅愁」に欠けているものは?

 −>・生活感覚とは無縁なもの、命や魂がかけている。

   ・真実の悲しみが伝わってこない。

  それは、言葉が通じないため、見たまま、感じたままを描いている。

・先生の「紀行文」は、生活観があり、経済学者の目で感じた内容をわかりやすく提言している。(学究的な論文である)


(1)先生が、ヨーロッパの人たちが不幸な戦争をどのように感じているのか

実際に自分の肌で感じた感想を書いている。

 O帰国前

・ヨーロッパ人は、戦争はこりごり。 毎日をくいのないように暮す。

・悔いのない生活とは、充実した生活ということで、その日、その日を楽しむことではないらしかった。

・明日(時代)は続いていく

=>田園を肥やしておく。 おいしいパンを作る。

・世界中の人間は、自分のところで落ち着いていたほうが幸せでしょうな。

よその国へ侵入したりしないで・・・。

私は、この土地の隅で妻や子どもと平和に暮していれば天国です。

 (50年後の現在でも通ずる内容ですが、人間は進歩するのでしょうか?)



(2)戦後フランスの問題

「教育の問題」

  G組閣難

・カトリックの小学校では、人間が自分一人で考え、自分の責任で生きていくことを教えてくれるが、共産主義の先生のいる小学校では、小さい時から、自分一人で考えることを悪と考えているから、本当の教育ができない。

当時の市民が、教育とは、設備ではなく、人間が自分で考えて、社会の一員になるよう性情を持たせるように導くことだ。と自覚していることに驚く。











「女性の生き方」

H妻に殺された新大臣

・夫が常に妻といないのがいけなかった。

・夫が政治のため妻をおざなりにたのだから、過失は夫にある。のが一般の考え方。

  フランス人が夫を殺した妻を支持していることに驚く。



(3)日本人とヨーロッパ人の人間性の違い

Mフランスに伝えられる日本

  日本は、戦後の悩みが強く個人の生活に係り、個人生活は光に背を向けて暗く、人間の生活条件は改善されるどころか、悲しい状態である。

・日本人が生活を楽しむことを知らないからか、国土が狭く、人口が多い原因なのか?

・実情は世界的な不公平と不正義が感じられる。

・ヨーロッパ人の悩みは「人間として」の悩み。

・日本人の悩みは、動物としてのなやみを悩んでいる状態。



  戦後の日本人は、生きていくために悩むのではなく、食うために悩んでいる

しかし、50年後の現在でも、日本人の悩みは、経済的には豊かになったが、

まだ「動物として」の悩みのでしょうか?

どうすれば、「人間として」の悩みになるのでしょうか?

以上