『2004/5月 第322回 読書会の報告』

 5月23日 随筆集『ヨーロッパの表情』335-393頁 第1回(全2回)
 芹沢光治良文学館11「エッセイ文学と人生」 平成9年6月10日発行 新潮社)
 司会:小川洋子  参加者: 23名

本作品は、先生が、大正14年にフランスに留学し、敗戦後(昭和26年)に再び訪
れたヨーロッパの表情を書いた作品を約50年後(平成16年)のイラク戦争、拉致
問題など、不安定な世界情勢の中で読む不思議なめぐり合わせを感じなが
ら・・。

先生が、昭和26年にヨーロッパを訪問して
 @戦争とは?
 A世界平和を築くためには?
 B「人間の労働」とは?
など感じたままを書かれている。

「ヨーロッパ人の2度の戦争とは」
・戦争は結局、国と国とがしていて、大衆はしたくないのだが、やむなくしてい
る。 しかし、この戦争の苦しみを、民衆は本気で受取り、来るべき戦争につい
て考え、その結果として平和な日々の生き方を考え、不幸になると、幸福に暮ら
した記憶だけが力になる。 そのような生き方をしている。 もう、第三次世界
戦争の恐怖を感じている。
 ・ローマ、スイス、イタリアを見て回って、ヨーロッパの諸国は、この20年間
に、不幸な戦争はあったが、やはり一歩も二歩も人間の解放へと巨大に歩いたこ
とを感じる。
=>戦争が終わって60年近く経過しているが、日本は本当に戦争の苦しみを考

ヨーロッパ人のように、すばらしい国にしようと考えたのでしょうか?
50年前に先生が心配していたように「日本はたいした国にはなれないのでしょ
う」その心配が的中しているかのようです。

「世界平和を築くためには」
 ・地球上にさまざまな国が存在してはならない。 一つにならなければ世界の
平和はこないであろう。
 ・全世界の人々がモラルの大変革をしなければならないでしょう。それまで、
  まだ人間の愚かさと闘わなければならない。
 ・ペン大会でのスイス代表の発言に光明を感じられた。
 「スイスは、4種類の言語を語る異なる人種が集まって平和な国を組織してい
る各人が十字架を背負う精神があり、全国民が平等に生きているからである。 
世界に違った言葉を語る多くの人種があろうとも、いつか必ず十字架を背負う心
になって、一つの世界の元に平和に暮らす日のあることを信じてペンで闘おう」
 =>(発言より)
【一つにならなければ世界の平和はこないであろう。の「この一つとは何」】
    ・利己心を制する心
    ・天国は一つであると感じる心
   【十字架を背負うとは】
    ・自国の罪を背負い、他国の罪を許す
    ・大きな力を信じること
    ・他人を愛すること、博愛の心
 
「人間の労働について」
 ・「人間の労働」だけが価値を創ることに気づく必要がある。
 ・ヨーロッパでは、「人間の労働」を大切にする思想から人間尊重、休暇、
機械が発明された。 
・日本人は人間の尊厳と労働の価値をしらない。自然にまかせていて、自然と
闘うという生活態度をとらない。この態度を変えない限り、朝から晩まで働い 
 
て貧乏することを覚悟しなければならない。
 ・日本人が「鳥類」ならヨーロッパ人は「獣類」である。
  日本に西洋文化が入ったとたん、この鳥類は羽をなくしたようなものであ
る。
  楽しく歌っていられる空から落ちて、獣類と一緒に大地で生存競争をしなく

はいけなくなった。
 =>(長期の休暇など労働についての発言より)
・日本人は、労働(働く)こと自体に価値がある。と考えている(仏教の影響)
・ヨーロッパ人は、労働(働く)は、神の罰、苦役。と考えている。
・日本人は個人よりも集団を大切にしている。また、忠信が美徳と考えられて
いた。 
  ・「人間の労働」だけが価値を創ることについて、現在においても気づいて

なく、労働(働く)は食べていくための手段としか考えられていない。

もっと多くの意見があったのですが… 。

以上