『2004/3月 第320回 読書会の報告』

 3月28日 長編小説『神の微笑』新潮文庫(第1回 全2回)

 司会:豊田節子  参加者:26名

「発言より」

○「神シリーズ」以前からの読者の感想

18年前、始めて読んだ時は違和感があり、「人間の運命」の方により好感が持てた。しかし、久しぶりに今回読み返してみると、以前よりもスムーズに心に入り、素直な気持ちで納得することが出来た。 これは、年齢を重ね体験を重ねた結果だと思う。

○「神シリーズ」からの読者の感想

不思議な出来事に多少の違和感を感じたが、素直に受け止められ、本に出てくる他の小説にも興味を持ち、次々と作品を読み、その世界観に圧倒された。

○芹沢作品の中での位置・分類

小説・エッセイなど どの分類になるのか分からない。読む者によって解釈が変わる。聖書として読む者もいるが、客観的な立場で小説として読むと言う意見が多数。「人間の運命」の別冊・補足版・入門書、芹沢作品の集大成 最後の果実とな

る作品など

○ジャックと捉え方
実在の人物なのか是非知りたい。と言う意見と、ノーベル賞を取ったのか実在したのかは、たいした問題ではない。という意見があった。作家の悟りをジャックの口を通して言わせている。ジャックは作者の分身ではないか。

○その他の意見

大自然の力が意志を持ち、陽気暮らしを望んでいるという思想に違和感を持つ。「人間の運命」は人間が主題だか、「神の微笑」は神の力が中心になっている。

中村慎一郎曰く、新世紀の灯火としての文学。植物との会話は、芸術家 詩人レベルでの感じ方。
リアリティーを求める必要はない。大人のメルヘン。
モラル・宗教の思想は、個々人が日々の暮らしに反映させればよい。
神について忘れていたが、問い直して愛の存在と気づかされた。
フランス文学の影響を受け、良く練られた構成になっている。分かりにくいことが、普遍的に書かれている。90歳にして吹っ切れたような、率直に書かれた作品。

  最後に回帰した作品。
(老紳士を知る方が多く、お人柄を偲ばせるお話をされました)

以上

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