『2003/9月 第314回 読書会の報告』
8月28日 『「冬の旅」351-402頁 前半(1回目)』
司会:平山惟美 参加者:25名
(内容)
○前半部を中心に感想が述べられた。この作品に対して賛否両論の意見があった。
・
読んでて辛くなる。先生の作品でなければ最後まで読まない作品。
・
2回目は勘弁したい。
・芹沢作品のベスト20に入る作品。
など、両極端の感想があった。後半(2回目)の大きなテーマになりそうです。
皆様の感想はいかがでしょうか?
(個人的な感想)
○前半は、「かの子」の結婚するまでの成長記録(後半は、「かの子」の結婚後の成長記録)として読みました。
・高い理想
@母の罪を引き受けて、家のかけ橋となる。
A不幸な子供達の魂を曇らせないために保母になる。
を持って東京で生活をするが、希望と現実が齟齬(ソゴ)となる。
・自分の高慢さ(自分が優れていると思い、他人をあなどる心)で、嫂、兄達を苦しめ。
・
1年9ヶ月勤めて、仕事に情熱を無くして単なる職業になってしまう。など、 「かの子」の理想(希望)は、苦労知らずの「空想の世界」のもので、生活感を感じさせるものではない。
○病気になって初めて、自分の高慢さに気づき、今までの自分とは違った自分を生み出すため苦悩をし、初めて神をほのかに感じるようになる。
(病気は人間の精神を健康にするものだと言うことを知りました。)
○芹沢文学(良心の文学)の真髄は、失意のままで終る「かの子」を、復活させ希
望に向かっていきることを諦めさせない文学である。 と感じました。
以上