芹沢文学読書会
案内通信
No82
2010年2月28日
(平成22年)
2月便り 一春うらら‥…一 驚の声に 聴き惚れし一
如月としては異例の大雨が上がり、今日は爽やかな春の陽が射しています。梅の花も満開です。ハイチ地震に続き、チリ沖地震の津波が日本にまで寄せています。
前回の1月10日の芹沢文学読書会は、沖縄から伊仲さんを迎え、熊埜御堂さんも久し振りに参加されて、活気のある読書会となりました。テキストとしては、新潮社版の『芹沢光治良文学館9』(短篇集)の短編小説「夢のかよいじ」を読み語りました。国文学の研究に没頭している父、千鶴子を音楽家にしようとする母、一高の理甲に入学した兄の勝夫、ものを書く女になりたいと思う妹の千鶴子。兄に語りかける形式の短編で、深刻なテーマは有りませんが、淡々とした愛すべき小品です。
フリートークとして、「芹沢文学 最近読んだ作品・一番好きな作品」について語りました。お年玉としての資料「大河小説『人間の運命』をお渡ししました。伊仲さんは、『人間の運勧の全16巻と中期自伝的三部作『弧絶』『離愁』『故郷』も読了したとのこと。中村さんは長編小説『運命の河』を読み、古賀さんは『巴里に死す』が一番好きな作品として挙げました。その他の作品も多く語られました。
今回は、短編小説「雪空」を読み語りたいと思います。『芹沢光治良文学館9』(短篇集)収録されています。昭和16年1月5日・15日合併号の週刊誌「サンデー毎日」に発表された作品です。都合をつけまして気楽にご参加下さい。
芹沢文学に関心のある新しい会員も歓迎します。どうぞ、お誘い下さい0
第82回・芹沢文学読書会
①日時 3月14日(日)〔原則的には奇数月の第2日曜日〕
②会場 大分県立図書館 研修室No4 10:00~12:00AM
③内容;〔1〕芹沢光治良先生のお話(カセットテープ)10:00~10:20
1977年11月5日に沼津市我入道の芹沢文学館で行われた文芸講演会
「一本のたんぽぽ」芹沢光治良先生のお話。*前回の残りを聴きます。
〔2〕芹沢文学読書会 10:20~12:00 担当・司会 小串信正
○テキスト;短編小説「雪空」
初出;昭和16年1月5日・15日合併号の週刊<サンデー毎日>に発表。
初刊;昭和16年9月6日博文館発行の短編集『魚眼』に収録された。
再販;『芹沢光治良文学館9』平成9年2月10日新潮社発行に再録。
335頁-346頁。戦争未亡人の問題をテーマにした作品。唐木八郎は学友の
中尾が婚約者がいるのに野村節子と見合いします。中尾は結婚し北支で戦死しま す。節子の夫も事変で戦死しました。節子は女学枚の先生とし.自活しますが、中 尾夫人の二階に下宿し、中尾の歌集を出版したいとか。
=次回は、特別に第3日曜日の5月16日(日)の予定です。= ;
◎同封資料;随筆「我が宗教」芹沢光治良 昭和28年6月30日要書房発行の『幸福への招待』に収録。142-144頁。天理教に育てられ、ヨーロッパへの留学と闘病でカトリックに触れた芹沢氏の宗教観。 *コピー機が新しいものになりました。
芹沢文学・大分友の会 *問合わせなどは土・日・月曜日に。
連絡先:メールして下さい。
芹沢文学大分友の会会報 No81 ふ じ
2010(平成22)年 2月28日
文 章 小 串 信 正
☆第81回・芹沢文学嘗売書会の報告 #♭J&
第81回の「芹沢文学読書会」を1月10日(日)の午前10時から県立図書館の研修室No4で開きました。芹沢光治良の講演録音テープは、1977(昭和52)年11月5日に沼津市我入道の芹沢文学館で行われた文芸講演会「一本のたんぽぽ」の続きを聴きました。沼津中学の一年後輩で天才の北川三郎君は、鹿児島の士族出身で、『世界文化大系』の大著を翻訳しましたが、貧しい女給を援助しようとして、富士山麓で心中してしまいます。立派な学者になって、様々な業績が期待される人だったとか・‥。
沖縄から伊仲誠保さんが参加され、大河小説『人間の運命』の全16巻を読破し、留学や結核闘病の頃を自伝時に書いた三部作『弧絶』『離愁』『故国』も読まれたとのこと。熊埜御堂さんもほぼ一年ぶりに参加され、活気のある読書会となりました。
読書会のテキストは『芹沢光治良文学館9』の短編小説「夢のかよいじ」を読み語りました。この作品は、昭和16年7月号の雑誌<むらさき>に発表されたもので、妹の千鶴子が兄の勝夫に語りかけるように書かれています。国文学の研究に没頭する父に愚痴を言う母が、千鶴子を音楽家にしようとしますが、千鶴子はものを書く人(作家)になりたいと思い試作をしたりしています。深刻なテーマはなく、戦時中の身辺小説と言えます。この短編小説は、同年9月6日発行の『魚眼』に収録されました。
この後、フリートークとして、「芹沢文学 最近読んだ作品・一番好きな作品」を参加者に語ってもらいました。資料として「大河小説『人間の運命』の出版日録」(B4判2枚)を渡しました。大河小説『人間の運命』の他に、『巴里に死す』『運命の河』など様々な作品についての話が出ました。
読書会のあと、和風レストラン「折鶴」でランチセットを食べながら「新年会」を持ちました。楽しい語らいの時を過ごしました。伊仲誠保さんを私小串が大分駅まで送りました。この時の写真を今回の読書会でお渡ししたいと思います。
☆平成21年度の年会費の納入をお願します。
新年度の会費が未納の方は、年会費1200円を読書会にご持参下さい。会に参加出きない方は、既同封振替・払込取扱票で納入して下さい。寄付は自主的なものですが、受け入れます。どうぞ、よろしくお願いします。退会の方は、御一報下さい。
☆<芹沢文学案内No45> 野沢朝子著『山荘』(2010年1月20日発行)
芹沢光治良氏の次女の野沢朝子さんが、父への思い出を書き、一冊の単行本『山荘』として自費出版されました。「はじめに」「Ⅰ回想17章」「Ⅱ詩 6篇」「おわりに」の構成で、全110頁。「山荘(SANSO)」とは、星野温泉の芹沢家の別荘です。「はじめに」の題は短歌「病みてよりこころ弱りて山荘に父の香のこる机待ちてあり」が使われています。「Ⅰ回想17章」の章題も短歌が使われています。
「思えば終戦の年にこの軽井沢で死んでいたかもしれない身を、父の献身的な看病と祈りによって臨死から救われて以来六十四年、走りすぎた年月であった。」「夏がきて山荘に落ち着き、父の座っていた椅子に腰掛け、ぽんやり樹木を見ていたある日、思いついた。父への思いを自分一人の胸にしまい込んでおかないで、まだ忘れていなことを、ここ軽井沢で書いておこうか。」「連日空襲警報が流れるようになった東京に、最後まで残っていたのは父と私であった。」「平和主義者であった父にはつらく生き難く、身を潜めて暮らすしかなかった。」「父の祈りに対して、このような形で大自然が応えてくれたように思える。」「父がいっも一緒に行動して家族の核となってくれていたから、ユートピアのように思い出されるのだろう。」「アテネ・フラセでは夫との出会いもあった。」など、飾らない文体で貴重な体験談が綴られていて、芹沢文学の愛読者にとって素顔の芹沢光治良氏を知るための読本と言えます。