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2009年11月 アーカイブ

2009年11月03日

9月読書会の「パリよ、さようなら」の疑問について (池田三省)

2009/9月の読書会「パリよ、さようなら」(昭和30年9月発行)で、
疑問に思っていたことを解決してくれる作品を見つけました。

「読書会での疑問内容」 ・パリを離れるとき、ヨシ子との会話で・・(P34)。
  「こちらの人の第二次世界大戦の苦しみ方は日本人と違ったんだね。
  苦しみの次元が違ったんだな。  日本人は意識的にこちらの人の苦しみ を自分のものにしてかからなければ、これからの世界のなかで落伍する  よ。 日本の最近の政治や経済のあり方や日本人の心理状態などを、こっちで考えると、全く第一次世界大戦後みたいで、すでに落伍しかかっているようで、見てはいられないなあ」

「疑問点」・ヨーロッパ人の「第一次世界大戦の苦しみ」と「第二次世界大戦の苦しみ」
の違いが分らなかった。

「作品」
■昭和30年9月の「現代女性講座 1 幸福な生き方」 (角川書店)
  「幸福になるための愛と憎しみ」 と題して執筆されている。

「内容抜粋」
 (昭和30年の頃の日本を思い浮かべて読んでください。)

 ・文明の最も進んでいるといわれる西欧の人々が、一生の間に二度の世界戦争をどんなふうにしているか、二十数年の間にどれほど文明が進歩しているか、現地をみて判断したい。

1951年(昭和26年)に、世界ペンクラブ大会にため渡欧する際、PTA会長をしていた多聞小学校6年生の図画と作文をパリの小学校と交換をする。
 ・日本の小学生は、家庭、生活の不安を訴えていた。 しかし、フランスの小学生は一人も自分の生活や家庭生活を訴えるものはなかった。

  「フランスの校長の話」
  「・・・その日の暮しに困るとか、父が亡くなったら浮浪児になるような家庭は一軒もありません。 100年前にはあったかもしれません・・・
   今度の戦争後は、相互扶助の精神が制度化して、そのために勤労者は明日の心配がなくなって、人間らしい生活を楽しんでいます。・・・」

 ・フランスの子供手当の充実(子供一人:三千五百フラン(三千五百円))、イギリスの社会保障制度の確立など、一般の庶民は、大戦争があったにもかかわらず、幸せになっていた。これは四分の1世紀だけの文化の前進、進歩だとなっとくできて、人類の将来に絶望しないでもいいのだと、自分に言い聞かせた。

 ・人間の生活が保障されている国にあってこそ、人間の幸福は、各自が発見すべきだとか、人間の幸不幸は、その人の性格によって決定されるから、各自幸福をうつし出す心の鏡を持つように努力すべきだとか、言えるのではないだろうか?

 ・人間が生きる基本的条件について、語ることは、政治論になっても、幸福論にはならないかもしれない。 しかし、その基本的条件がそなわらない日本では、今日、いわゆる幸福論をすることは、道徳論をすることになったり、ややもすれば、不幸な庶民にあきらめを強いることになりはしなかろうか。
 
 ・政治論として、日本と同じ民主主義の国であるスイスやイギリス、フランスなどが、すでに人間の生きる基本条件が、よい政治によって、備わっているのに、何故日本ではそれが不可能であるか、考えるべきではないか?

 ・イギリス、フランス、スイス人も日本人とさして変わらない。 日本人も元来勤勉で、平和な人間である。
 ・スイスは、貧富の差が少なく、一般に富んで、生活が豊かであるばかりではなく、誰でも人間としての生活を保障されて、勤労の意欲さえあれば将来の心配のないように置かれていれば、人間は悪い事をしなくてすむし、自然に健全な生活をするようになるものであろう。
  
  ・これに反して、日本では、人間が荒野に放された動物のように、明日の安心のない状態におかれていれば、人間はいつか新聞の三面記事になるようなことを行い、自然に悪人も出て、社会生活が乱れるものであろう。
  ・日本の庶民は、政治の面から人間として扱われていないから、いきるために自力であせくせしなければならないから、不徳漢のように見えることが起きるにすぎない。
  ・個人が幸福になるためにも、その属する社会や国家が良くならなければならないという条件があると感ずる。 そして、幸福について考える場合、常に個人の精神の在り方や生き方が問題になって、この条件が忘れ去られる。
  ・私達は自分だけでが幸福になろうとしても、なれないような時代にいきていることを、知らなければならない。
  ・自分や家族だけが幸福になろうとするよりも、隣人とともに幸福になった方が、その幸福が確実で永続的であることを知らなければならない。

私達は社会生活において、長いベンチに多くの人とならんで掛けているいるようなものである。  そのベンチに安全に腰かけている間は、みな平和に暮らしていられて幸福である。しかし、いつそのベンチから落ちるかも知れないから、必死にしがみつくようにして掛けていようとする。
 自分だけがそのベンチにいつまでも掛けていようと努力するよりも、そのベンチが動揺しないように、ベンチが腐敗しないように、みんなで相談して、誰も落ちないように助け合うことの方が、もっと安全である。

・自分だけではなく、隣人とともに幸福になる方向に努力することは、言葉にかえれば「幸福になるための愛」と言うのではなかろうか。

・その現実を阻む者を憎む事が、「幸福になるための憎悪」であろう。

イギリスの社会保障制度、フランスやスイスで実行している福祉制度を実施している友人たちはこう答えた。

●自分達は第一次世界大戦では、「動物的な苦悩」をしたが、第二次世界大戦では「人間的な苦悩」をしたからだ。
 ・動物的な苦悩とは、家を焼かれた、夫や息子が戦死した、食料に窮し・・・
  というような苦悩だ。

 ・第二次世界大戦にも、そうした苦悩もしたが、その上に、なぜ自分達は戦争しなければならないか、同じように敵をも愛せよ説くキリスト教を信じながら、同じジェネレーションになぜ二度も戦争をしなければならないか、初めて自分達は疑問を抱いて、苦しんだ。「人間らしい苦悩だ」。   その苦悩の中で、人間がお互いに愛しあう以外に、自分達に平和も幸福もないと、みんなはっきりと知ったんだ。

 ・平和になると、その愛し合う精神をまず国民の間で生かそうとして、相互扶助の社会保障制度を設けたのだ。 国民の間でそれが出来なければ、他の国民と愛しあえることもできないし、世界平和など口にもできないという勢いだった。 もちろん財政上は困難だ。 しかし、戦争中、人を殺す戦争目的のためには財政困難などと、言ってはいられなかった。 まして、平和の目的のために、国民がみな愛しあうために、財政上困難ということはあり得ないし、あってはならないんだ・・。

私たちの幸福はともかく、子供や孫たちの幸福を思う時、私たちがそのためにやれることは、私達の社会を、同じ民主主義国のイギリスやスイスやフランスのように、人間らしい生活ができるような社会にすることではあるまいか。 そんな社会に急速にできなくとも、それに近づけるよう努力すべきではあるまいか。それは、政治に関係もあろうが、同時に、人間らしい愛の問題である、そして、私たちの社会を現状のままにとどめようとするあらゆるものに対して、憎悪を持って、たたかわなければならない。 それが、次ぐに来るものの幸福を保証する愛ではなかろうか。


読み終わって、芹沢光治良先生が、昭和30年の日本の庶民が幸せになるための道筋を力ずよく書かれています。 特にインパクトがあったのは、「戦争中、人を殺す戦争目的のためには財政困難などと、言ってはいられなかった。 まして、平和の目的のために、国民がみな愛しあうために、財政上困難ということはあり得ないし、あってはならないんだ」。

以上

2009年11月13日

11月の大分の読書会

芹沢文学読書会
案内通信
No80
                                        2009年10月25日
                               (平成21年)
                                       
   10月便り  一流星や・…‥ 金木犀の 香りして
 秋が深まり、朝夕は肌寒さを感じる季節となりました。お元気にお過ごしのことと思います。読書の秋です、芹沢文学を思い出して、大河小説『人間の運命』などの長編小説などにも取り組んでみて下さい。再読や三読もお勧めします。
 芹沢文学読書会も今回で80回となります。熱心な愛読者に支えられて、細々とですが長く継続され、感慨深いものがあります。特に記念的なことはしません。
 芹沢文学読書会で読んだ短編小説・長編小説や随筆・評論なども多くなりました。芹沢文学の研究書や特集の組まれた雑誌なども読み語りました。
 平成20年度の会計報告など、遅くなりましたが、報告いたします。ご了承下さい。
今年度も隔月の年6回の「芹沢文学読書会」と正月の「新年会」を持つことしか出来ませんが、今後ともよろしくお願いします。文学の旅は、参加者も少ないので、当分は企画しないことにしています。隔月に会報や同封資料はお送りいたします。
 今回は、新潮社版『芹沢光治良文学館9』の短編小説「眠られぬ夜」を読み語りたいと思います。戦時中の日記書簡風の手記です。傷兵保護院で会った特務一等兵大津順一は、突然に心臓麻痺で死去しました。お母さんから、手紙と共に大学ノートが送られてきました。知的で純粋な青年の戦争体験が生々しく書かれています。
 芹沢文学読書会は、どなたでも参加や入会か出来ます。新しい方も歓迎したいと思います。お誘い下さい。会員の方は、都合をつけて参加下さい。


 第80回・芹沢文学読書会

①日時;11月8日 日 〔*原則的には奇数月の第2日曜日〕
②会場;大分県立図書館 研修室No4 10:00~12:00AM
③内容;〔1〕芹沢光治良先生のお話(カセットテープ)10:00~10:20
     1977年11月5日に沼津市我入道の芹沢文学館で行われた文芸講演会
     「一本のたんぽぽ」芹沢光治良先生のお話。*前回の続きを聴きます。
〔2〕芹沢文学読書会 10:20~12:00  担当・司会 小串信正
 ○テキスト:短編小説「眠られぬ夜」 *大津順一の母への手記。戦地での体験を回想   して記録したもの。手紙、一~四で構成。
 初出;昭和14年6月号<文芸>に発表。*「前文」と「五」があった。
 初刊;昭和14年9月25日実業之日本杜発行『眠られぬ夜』に収録された。
 再版;『芹沢光治良文学館9』平成9年2月10日新潮社発行に採録。
 読審会でも部分的には読みますが、家で読んで来て下さい。*このテキストは、書店から新潮社に注文すれば入手出来ると思います。
 =次回は、1月8日(読書会のあと、新年会の昼食)の予定です。=
◎同封資料;①インタビュー「パリは私の運命を狂わせた」(文学30年を語る芹沢氏)昭和34年3月28日 出典不明(読売新聞か?)。この年の1月25日にフランス詩人連盟から「フランス友好国際大賞」を受賞し、その祝賀会が開かれた時のインタビューの要約。ロンドン留学がパリ留学に変更されたとのこと。*コピー不良。
 芹沢文学・大分友の会 *問合わせなどは土・日・月曜日に。
  連絡先:〒870-0171大分市法勝台3丁目8番2号 小串信正方
  メールして下さい。

芹沢文学大分友の会 ふ じ
2009(平成21)年10月25日
                            文 責  小 串 信 正
☆第79回・芹沢文学読書会の報告    ♯♭J&
 第79回の「芹沢文学読書会」を9月13日(日)の午前10時から県立図香館の研修室
No4で開さました。芹沢光治良の講演録音テープは、1977(昭和52)年11月5日に沼津市我入道の芹沢文学館で行われた文芸講演会「一本のたんぽぽ」。以前に一度聴いたものですが、再度聴いてもらいました。芹沢先生81歳で、書き下ろし長編小説『愛の影は長く』を書いている頃のこと。沼津中学の一年先輩市河彦太郎氏の提案で刊行の同人誌「たんぽぽ」の思い出から語り始めました。明治維新後、幕府の家臣で沼津兵学校が始められ、江原素六の牧場や学校も実践された。師範学校を出た岡野喜太郎が駿河銀行を興したことなどが語られました。次回に続きを聴きたいと思います。
 新聞に載せられた案内を見て、電話をかけてきた方があったので、テキストをコピーして用意しましたが、来られませんでした。沖縄の伊仲さんの便りのことも話題にしました。大河小説『人間の運命』の14巻を読んだ後、終『遠ざかった明日』・序章『海に鳴る碑』や中期三部作『孤絶』『離愁』『故国』も読みたいとのこと。
 テキストの短編小説「都会の人」は、昭和13年10月号の<文芸>に発表されました〔注/案内では<文学界>と書きましたが、ミスで訂正します〕。中軽井沢の別荘で聞いたことをもとに書かれたもので、プロレタリア文学の階級闘争の深刻さはなく、一つの社会批判としの軽い作品です。次回は、短編小説「眠られぬ夜」です。
☆平成20年度芹沢文学・大分友の会会計報告=ご了承下さい=
◎収入の部
  前年度繰越  3562円
  会費収入   10200円
  寄付収入   17100円
         30862円
◎支出の部
  送料(切手他)18000円
  文房具代    3424円
  コピー代    5782円
         27212円
  決算 30862-27212=3650円(振替1760,現金1890)
                   会計 小串信正  監査 中村輝子
 反省・会員が少なく、寄付で何とか運営している。-会員、参加者を増やす。
   ・文学の旅が出来なくなり、新年会のみ。一新資料などの作成にも努める。
 >平成21年度の年会費の糸内入をお願いします。
  既に納入済みの方が3人いますが、年会費1200円を読書会に持参下さい。会に参加出来ない方は、同封の振替・払込取扱票で納入して下さい。寄付は自主的なものですが受け入れます。どうぞ、よろしくお願いします。

☆<芹沢文学案内No43>新装再開した沼津市芹沢光治良記念館
 芹沢文学館が沼津市に引さ継がれたことは、前にお知らせしましたが、、この10月4日に新装オープンしたようです。名称は「沼津市芹沢光治良記念館」となりました。
展示は1階と2階にあるようですが、2階展示室は諸企画に無料で貸し出すとのこと。
休館日は毎週月喝日(休日に当たるときはその翌日)で、年末年始(12月29日~1月
3日)も休みになります。開館時間は午前9時~午後4時30分です。観覧料は、大人
100円、小人50円。市内の小中学生は無料。JR沼津駅南口から沼津登山東海バス4番線で「我入道循環」又は「牛臥・我入道循環」で約15分、沼津リハビリテーション病院前で下車すればすぐです。一度、機会がありましたらお出かけ下さい。
 芹沢光治良民は、沼津市(革入道)で生育した沼津を代表する大作家ですから、今後は沼津市が費任を持って顕彰していって欲しいと思います。千本松原で亡くなった歌人若山牧水と共に、沼津市の人々だけでなく、全国の人々に愛読されることを期待しています。全国の芹沢文学の友の会の中心として活動して欲しいと念願しています。

2009年11月18日

2009年12月のマグノリア

黄金色の”からまつ”の葉も段々と散って、
師走も近づいてまいりました。今年最後の
マグノリアのご案内をさせていただきます。

☆ 講演会  12月13日(日)  午後2時
   遠藤文学と母なるキリスト教
       講師  加藤宗哉

『モーツァルトの妻』『遠藤周作』の著者、
三田文学編集長であられる加藤宗哉先生を、
お迎え申し上げます。加藤先生は、勝呂奏作
『評伝芹沢光治良』の書評を紙上でお書き下さ
いました。芹沢光治良作品集のあとがきや、
日本文学全集の付録にお書き頂いた遠藤周作の
文学を中心に幅広く文学をお話下さると存じます。
皆様のご参加をお待ちしております。2000円の
会費を頂戴させて下さい。ご出席下さいます方は
ご連絡お願い申し上げます。ありがとうございました。
          岡玲子

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