芹沢光治良の研究書を読んで、新しい発見と作品を整理することが出来た。
・芹沢文学のテーマ:平和、社会体制、信仰(宗教)、愛情、死、神をテーマとして、生活の中の題材を扱いながらも社会全体、世界全体の問題性と共通している社会性がる。
・神シリーズまでは、人間から様々な拘束の解放を望んで書かれた。
・神シリーズ後は、神をはっきりと認識して、確信を持って人類救済のために書かれた。
人間の一番の問題である「死」について、死は肉体の消滅であり、魂は不滅である。地獄は存在せず、現在の連続である。死は忌み嫌うものではなく希望や安息でもある。
・作品群から芹沢光治良の「神」意識の考察
・幼少年期:熱心な信仰生活のなかで神とともにあるような生活。
・青年期:神を否定し、近代人としての自我を確立。
・フランス留学:実証主義を標榜(公然と現す)し、唯物論的な思想であった。
常に心の奥底では神と対峙していた。
聖書とキリスト教に近づき、中山みきの伝記を執筆。
教団を批判しながらも素朴な信仰について肯定的にとらえ、「神」と「教会 組織」を明確に分けて考えたことが分かる。
・ある感想に、神シリーズ前は、「もの言わぬ神の意思」を書き続けていたが、その対象となる神は、沈黙であった。
神シリーズでは、神が現れ、神の「意思」を示してくれ神と共に書かれた。 芹沢光治良先生は、至福の中で書かれたのではないだろうか。
本書は、芹沢文学の代表作について丁寧に考察されています。
既存読者にとっては、各作品を再読したくなる書であり、芹沢文学に初めて触れる読者には、入門書として読まれることを希望します。
以上